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【広葉樹活用の動向2026】小径材・短尺材も家具にする「飛騨モデル」を全国へ サプライチェーン再構築や森林再生など取り組みが多角化347

Updated by 『森林循環経済』編集部 on September 09, 2026, 4:26 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

国内の広葉樹を単に「使う」「植える」のではなく、加工、商品化、調達、資金還元、森林再生など循環を構築しようとする潮流が広がっている。これまで国産広葉樹は、加工や流通の難しさから大半がチップや燃料などの用途にとどまっていたほか、手入れが行き届かない里山林の荒廃や管理の放置も大きな課題となっていた。こうした状況に対し、加工技術の確立やサプライチェーンの再構築、森林生態系の復元など、多角的なアプローチが進展している。家具用材への転換を目指す技術開発をはじめ、事業者が商流に介在しない調達ルートの構築、希少材を活かした工芸プロダクトの開発、さらには自然共生サイト認定や水源林再生に向けた植樹まで、経済性と環境価値を両立させる実践が相次いでいる。

飛騨産業ら3者、地域産広葉樹を高付加価値家具へ転換する技術開発で国の推進事業に採択

飛騨産業、森林総合研究所、岐阜県生活技術研究所の3者が提案した研究課題「地域産広葉樹材を無駄なく使い切る高付加価値利用技術の開発」が、生物系特定産業技術研究支援センターの令和8年度「オープンイノベーション研究・実用化推進事業」に採択された。里山から産出される広葉樹は、幹が細い小径材や短尺材が多く、多様な樹種が少量ずつ混在するため、従来の家具づくりでは活用が難しいという課題があった。今回の事業では、ナラ、クリ、ブナ、ヤマザクラなどの小径材をつなぎ合わせた材の曲木加工や色むらを抑える調色技術をはじめ、複数樹種を重ねた「異樹種複合積層材」の三次元加工、意匠性と強度を兼ね備えた新たな縦継ぎ技術などを4年間で開発し、丸太選別基準の策定にも協力する。開発された加工・接着技術は、飛騨産業の定番椅子シリーズの製品化に適用される。異樹種積層家具など2029年度の新シリーズ製品化を経て成果を「飛騨モデル」として全国へ展開する計画だ。国内における広葉樹材の自給率は約1割にとどまり、家具や内装材といった高付加価値用途への利用は5%未満と極めて低い水準にある。安価なチップや燃料としての消費が中心だった未利用広葉樹を高付加価値化することで、山側へ年間約45億円の循環資金を還元する仕組みを構築し、2030年までに自社の国産材使用比率を30%(2025年実績19.9%)へ引き上げる後押しをする。

【写真左】飛騨地方の広葉樹材 Photo. Kazuhiro Shiraishi 【写真右】小径木での製作に挑戦する飛驒産業の定番椅子 CRESCENT(デザイン:佐々木敏光)※写真は現行のナラ仕様(出典:飛騨産業株式会社)

※参考リンク
共同研究がオープンイノベーション研究・実用化推進事業に採択 | 飛騨産業株式会社

スペイスアンドプレイス、都市と森をつなぐ国産木材サプライチェーン構築サービスを開始

スペイスアンドプレイスは、国産木材の調達ルートを設計する「サプライチェーン構築サービス」の提供を開始した。自社が物品の商流には介在せず、調達スキームの設計に特化する点が特徴だ。仕様調整や乾燥・加工の品質管理に加え、クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通及び利用の促進に関する国内の法律)やESG・TNFDなどに対応する書類整理なども伴走支援する。かつて薪炭などに活用されていたコナラやクヌギなどの「里山広葉樹」は、定期的な伐採によって林床に光を届け、豊かな生物多様性を育む役割を果たしていた。企業の木材調達を通じて、こうした広葉樹や里山の循環利用を復活させ、生態系を能動的に再生する「リジェネラティブアプローチ」の社会実装を目指している。複雑な流通構造や川上・川下における知見の隔たりといった調達のハードルを解消し、国産広葉樹を含む地域材活用の加速が期待される。

出典:株式会社スペイスアンドプレイス

※参考リンク
都市と森を再接続する。国産木材の「サプライチェーン構築サービス」を提供開始 | PR TIMES

新宮商行、家庭で追熟を楽しめる「北海道ミズナラボトル -工藝-」を発売

木材総合商社の新宮商行は、北海道産ミズナラを活用した酒類熟成用ウッドボトルの上位モデル「北海道ミズナラボトル -工藝-」の受注を9月2日に開始した。現代アーティストのKei Arabuna氏と共同開発し、ボトル内部に樽材と同様のチャーリング加工(焦がし工程)を施した。注いだ酒類にミズナラ特有の香味成分を移し、2週間ほどで家庭での追熟を可能にした容器だ。阿寒アイヌコンサルン正式認証のアイヌ文様刻印をはじめ、九谷焼の蓋、漆塗り、高岡銅器の箍(たが)といった日本の伝統工芸の技と素材を融合。内部材の交換や再焼き直しができる修復構造を取り入れ、永く使い続けられる工夫も施されている。ウイスキー樽などに用いられる北海道産ミズナラは、特有の芳香をもたらす希少な広葉樹として世界的な評価が高く、素材の特性を工芸領域で活かして高付加価値化する試みとして注目される。

出典:株式会社新宮商行

※参考リンク
『北海道ミズナラボトル -工藝-』新発売のお知らせ | 株式会社新宮商行

企業版ふるさと納税で広葉樹林化、「MISHIMAの森」が自然共生サイトに認定

高知県梼原町と大日本ダイヤコンサルタントが共同管理する協定森林「MISHIMAの森」が、環境省の「自然共生サイト」に認定された。「SXビジネスの展開に関する研究」の一環として企業版ふるさと納税の仕組みを活用し、針葉樹人工林を伐採した跡地に広葉樹を植樹することで、里地里山環境の形成を進めてきた。現地調査ではカッコウやアカショウビンといった希少鳥類をはじめ、多様な在来動植物の生息が確認され、生物多様性の保全実績が高く評価された。自然資本の回復とESG経営を結びつけるモデルケースとして注目される。

MISHIMAの森(出典:大日本ダイヤコンサルタント株式会社)

※参考リンク
高知県梼原町と大日本ダイヤコンサルタントが共同管理する森林「MISHIMAの森」が環境省「自然共生サイト」に認定 | 大日本ダイヤコンサルタント株式会社

紙の削減コストを森づくりへ、こくみん共済 coopが笛吹市で広葉樹2000本を植樹へ

こくみん共済 coop(全国労働者共済生活協同組合連合会)は、山梨県笛吹市芦川町において「こくみん共済 coop の森」の第1回植樹イベントを5月に開催した。認定NPO法人環境リレーションズ研究所が運営する森林再生プロジェクト「Present Tree」と連携し、過疎化により手入れの行き届かない人工林や伐採跡地が増加している芦川源流域のカラマツ伐採跡地に、地域本来の多種多様な広葉樹を植える取り組みを進めている。計画する2000本のうち、第1回イベントでは100本を植えた。地元植生であるミズナラやブナ、コブシ、ヤマザクラを植樹し10年間育成。100年先まで存続する水源林を育てることを目指している。活動資金には組合員のペーパーレス手続きで削減されたコストを充当。生活者の環境配慮行動を森林再生の原資へ還元するモデルとして展開する。

出典:全国労働者共済生活協同組合連合会

※参考リンク
2026年5月28日、第1回植樹イベントを開催しました! | こくみん共済 coop <全労済>

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