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Why Are Austrian Foresters Trusted by Forest Owners? — Building Relationships Based on Personal Connection, Not Just Knowledge
Updated by 小林靖尚 on July 02, 2026, 9:53 PM JST
Yasuhisa KOBAYASHI
株式会社アルファフォーラム
株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 1988年早稲田大学理工学部応用化学科卒、三菱総合研究所主任研究員(住環境担当)を経て、同社のベンチャー支援制度を活用し2001年に株式会社アルファフォーラムを設立。以降、木材利用システム研究会(常任理事)、 もりもりバイオマス株式会社(顧問)、富山県西部森林活用事業検討協議会(事務局)等を歴任。2023年9月には木材利用システム研究会賞を受賞。
Austria(オーストリア)では、フォレスター(森林技術者・林業技術者)は「規制職業」として法律で定められた専門職である。森林法(Forest Act 1975)に基づき、持続的な森林経営や保全を担う専門家として位置づけられている。
フォレスターとして働くには、以下のような資格要件が原則必要とされている。
・専門の森林学校(5年制職業カレッジ)の修了
・もしくは大学での森林科学系学士課程の修了
・上記修了後、少なくとも2年間の実務経験
・国家試験(森林マネジメント試験)の合格
EU・EEA・スイスなど他国で取得した資格をオーストリアで認めてもらうための「資格認証」手続きも用意されている。欧州は陸続き、森林からみれば便宜的に国境が定められているが、ひと続きの森林資源との考え方から、欧州内の国々は森林管理については協力・協業関係にあるといえる。Austriaでは1人/1,000haのフォレスターが森林を管理しており、1人/10,000haの上級フォレスターが統括していることが一般とされている。
林野庁が発行する「森林総合監理士(フォレスター)基本テキスト」に、定義が掲載されている。とても良い内容なので、下記に掲載する。
森林総合監理士とは、「森林・林業に関する専門的かつ高度な知識及び技術並びに現場経験を有し、長期的・広域的な視点に立って地域の森林づくりの全体像を示すとともに、市町村及び地域の林業関係者への技術的支援を的確に実施する者」(「森林総合監理士登録・公開の運用について」(平成26年4月1日付け25林整研第286号林野庁長官通知))として、林野庁長官が、林業普及指導員資格試験の地域森林総合監理区分に合格した者を登録するものです。
森林総合監理士には、広域的・長期的な視点に立って、地域の森林づくり、路網づくりをベースに森林の整備・保全を通じて森林資源の持続的な利用や地域の活性化を構想し、構想の実現に向けて中立的な立場で地域の森林・林業関係者の合意形成を図りつつ、制度や予算を活用しながら具体的な取組を進めていく中心的な役割を担うことが期待されています。このため、森林総合監理士には森林づくりに関する科学的な知見、木材の生産から利用までの基本的な知識に加え、これらを地域の振興に結び付けていく構想力や、合意形成に必要なプレゼンテーション力が求められます。
森林総合監理士は、都道府県や国の職員のみならず、地域に最も密着した行政機関である市町村で林務行政を担当する職員、地域の経験豊富な民間の技術者など林業普及指導員資格試験の地域森林総合監理区分に合格した者であれば、所属を問わず活動していくことが期待されています。
日本にも上記のような知識とスキル、カバー範囲を持つフォレスターが増えているかと思うとワクワクする。
Austriaでも日本でも、フォレスターは林業の管理と計画森林の現状把握と長期的な計画が重要であることが強調されている。
・テキストでは地図作成や森林調査、森林計画の策定が必要となる。
・森林調査とデータ収集:サンプル調査や個別木の測定方法を適切に選択するスキルがある。樹木の直径や高さ、成長量を記録し、森林資源を評価する。森林資源の評価と管理森林の蓄積量や成長量の変化を追跡する。
・持続可能な森林利用戦略:監視と観察が誤った判断を防ぐために、年齢層別の木材量や成長率を分析する。森林の構造や木材の価値を最大化する方法を提案する。
・伐採と森林整備:適切な伐採方法と木材の種類選定ノウハウも兼ね備え、収益性とリスクを考慮した計画が必要となっている。
・森林のリスクと保護:野生動物や自然災害による被害を最小化する対策を示しており、森林の健康と安全を維持するための施策を解説している。
特に、森林資源の評価は重要であり、Austriaも日本もレーザー計測データ(客観データ)による分析と整理が主流となっている。
下記は2025年12月にAustriaのフォレスターのプレゼンを聞かせてもらった時の資料だ。

プレゼンによるとAustriaでのフォレスターの森林状況把握については下記のとおり。
課題(Herausforderung):森林の現状を正確に把握するためのインベントリ(調査)が必要。インベントリ(INVENTUR)森林資源の量や質を把握するため、300平方メートル 固定サンプルプロット(300 平方メートルfixer Probekreis)300平方メートルの固定された円形調査区でデータを収集する。BHD 12 cm+胸高直径(BHD)が12cm以上の木を調査対象とする。極座標(Polarkoordinaten AZI Dist)各木の位置を方位角(AZI)と距離(Dist)で記録する。すべての個体木を識別(jeder Einzelbaum identifiziert)調査区内のすべての木を個別に識別し、データを記録する。BHD(Brusthöhendurchmesser/胸高直径)地上1.3mの高さで測定した木の直径。
例文:森林インベントリでは、300平方メートルの固定サンプルプロットを設置し、胸高直径12cm以上のすべての木を極座標(方位角と距離)で記録。これにより、各木の位置や成長状況を正確に把握できる。この方法は、森林の現状把握や将来の管理計画策定に不可欠である。
確かに、関連知識を正しく理解していることは重要だ。資格制度も良い。要は「森林所有者やその地域で生活している人と『顔の見える、話せる、相談できる仲』であるか?」の方が本質だ。森林組合の職員の中にも、そのような人は存在する。土着して生活を共にし、森林のことを考え活用できる改善を実行するひとだ。
Austriaのフォレスターの話を聞くと、担当しているエリアの森林所有者とは顔の見える仲にあるという。もっとも、日本に較べると所有者の数は少ないが、日常的に会話をする仲である。

日本は「資格制度≒知識があるかどうか」が重視され、地元住民とのコミュニケーションが希薄な感じがする。希に「森林のことならば〇〇さんにまかせている…」の声を聞く。このひとこそ、森林の集積~集約の要であり、地域にとってなくてはならない存在なのだ。もちろん長期的な視点に立って森林の公共価値向上についてもスキルを持っている。
森林の間伐や主伐再造林という施業をした場合、「森林所有者にどのくらい価値(お金)が戻せるか?」も重要な視点である。Austriaではフォレスターに森林を託すことが義務ではない。フォレスターに森林を託すとちゃんとお金が戻ってくる…という実績があるから、フォレスターに管理運営をまかせる…という構図だ。日本でも「どれだけ山林所有者にお金を戻せるか?」において複数の選択肢を提案し、切磋琢磨する関係が必要と思う。
森林林業を進める制度的な整備はできてきた。その意図も汲んで実行する人とともに事業を進めていきたい。Austriaの森林業はまだまだ見習うところが多い。日本でも地域に密着して活動している精鋭と協力を深めたいと思う。(株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 小林靖尚)