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住友林業が住宅のCO2削減量をJ-クレジット化 環境価値を巡る新たな市場形成が進展【自然資本・森林クレジットの動向2026】327

Updated by 『森林循環経済』編集部 on July 28, 2026, 8:21 PM JST

『森林循環経済』編集部

Forestcircularity-editor

プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。

森林をはじめとする自然資本が持つ環境価値(クレジット)への注目が高まっている。かつてのような単なるCO2排出量の相殺にとどまらず、住宅の省エネ性能によって生じるCO2削減量を環境価値化し居住者へ還元する取り組みをはじめ、エネルギー大手による地方の長期保全支援、自治体とスタートアップによるボランタリークレジットの創出、金融・保険機関による新たな市場形成、さらには地域に歴史的ゆかりを持つ金属メーカーの参画など、CO2削減量や自然資本の価値化に向け、多様な業界の企業や自治体がそれぞれの目的に応じてクレジットの創出や購入・活用へと動き出している。

戸建て住宅のCO2削減量をJ-クレジット化しオーナーへ還元 「住友林業省エネ住宅倶楽部」を発足

住友林業は、戸建て住宅の個人オーナーを対象とした「住友林業省エネ住宅倶楽部」を発足し、入会受付を7月1日から開始した。高い断熱性や省エネ設備を備えた「住友林業の家」での暮らしをCO2排出削減活動と捉え、その削減量をJ-クレジット制度を通じて一括で環境価値化する試みだ。創出したクレジットは同社名義で第三者へ売却し、その売却益を削減量に応じて年1回、オーナーへ定期的に還元する。同社によると、住宅メーカーによるこうした還元型の仕組みは業界初の取り組みという。クレジットの算定には、同社が全棟で申請している建築物の省エネ性能を評価する第三者認証「BELS」の評価書を活用。一般的な住宅の仕様と比較した差分から削減量を割り出し、複数のオーナー分を取りまとめて手続きを行う。住宅を建てるときのみならず、暮らすときの環境貢献度を可視化することで、居住者の環境意識を高めると同時に、住まいの付加価値向上を図る狙いだ。

出典:住友林業株式会社

※参考リンク
「住友林業の家」のCO2排出削減量からJ-クレジットを創出 ~売却益を定期的にオーナーに還元する「住友林業省エネ住宅倶楽部」発足~ | 住友林業株式会社

とくしま森林バンクとENEOS、森林由来J-クレジットの長期売買契約を締結

とくしま森林バンクとENEOSは、森林由来のJ-クレジットに関する長期売買契約を締結した。所有者の不在や担い手不足による放置林が引き起こす公益的機能の低下、そして地域環境や持続可能な林業経営への悪影響は、いまや全国で深刻な課題だ。とくしま森林バンクは徳島県内において市町や企業の支援を受け、関係団体と連携しながら、森林経営の受託や買い取りによる集約化を進め、持続可能な森林整備を先駆的に推進する全国初の取り組みを展開。保全活動から得られる森林クレジットの売却益を新たな財源として次の整備へと循環させる、自立的な事業運営モデルの確立に挑んでいる。一方、2030年度までにScope1・2の温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減する目標を掲げるENEOSは、森林由来J-クレジットを長期調達することで自社のカーボン・オフセットに活用する。今回の長期契約は、資金難に悩む地方の森林保全を安定的なマネーフローで支える基盤となり、放置林対策や地域経済の活性化といった課題の解決にも大きく寄与しそうだ。

出典:ENEOS株式会社

※参考リンク
とくしま森林バンクとENEOSが森林由来J-クレジットの長期売買契約を締結 | 公益社団法人 とくしま森林バンク、ENEOS株式会社

檜原村の森林から国内初のボランタリークレジットを創出

東京都が進めるスタートアップ連携策「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」において、都内森林から国内初となる森林系ボランタリークレジットが発行された。実証事業を担うアイフォレストは、檜原村の森林にて無人ヘリや衛星データを駆使した最新のモニタリングを実施。CO2の吸収量に加えて生物多様性を含めた多面的な自然価値を数値化した。一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)による認証を経て、まずは77t-CO2のクレジット化を実現した。創出されたクレジットは協力事業者である東京建物へ販売され、今後の活用方法が検討される。プロジェクトでは2045年までに累計1725t-CO2(標準的な家庭約486世帯の年間排出量相当)の創出を見込んでおり、日本版ボランタリークレジット(JVC)創出に向けた先駆的なモデルとなる。今回の仕組みは、森林由来のクレジットを生物多様性の回復や自然資本の向上までを含めた総合的な環境価値として評価できる点が特徴的だ。

出典:東京都

※参考リンク
国内初 「吸収・除去系カーボンクレジット創出促進事業」 東京都の森林からボランタリークレジットが創出されました! | 東京都庁 産業労働局
アイフォレスト、東京都檜原村の森林を対象に日本版ボランタリークレジット(IFOREST CREDITS)を創出・発行へ | PR TIMES

損保ジャパン、自然資本由来のボランタリークレジットを購入

損害保険ジャパンは、自社が参画する一般社団法人ナチュラルキャピタルクレジットコンソーシアム(NCCC)が認証した草地化・土壌固定によるボランタリーカーボンクレジットを購入した。同社によると、こうした自然資本由来クレジットの取引としては国内初の実施という。岡山県赤磐市にある太陽光発電設備で行われた取り組みで、敷地に緑地を広げる特殊工法を用い、土壌が吸収したCO2を価値化している。衛星画像の解析やAIを活用することで、データの透明性と信頼性を確保した。自ら買い手となって取引実績を作ることで、まだ発展途上にある自然資本市場の活性化を主導する狙いだ。単なるCO2の相殺にとどまらず、土壌の健全化を通じた生態系保全や、地盤強化による防災・減災といった複合的な環境価値を伴う点も大きい。従来の森林クレジットにとどまらない多様な自然資本を経済価値へ換算する新たなアプローチは、地域の脱炭素とレジリエンス向上を同時に実現するモデルとして注目される。

※参考リンク
国内初の取引の実施~自然資本由来のカーボンクレジット市場形成に向けて~ | 損害保険ジャパン株式会社

歴史的なつながりを脱炭素戦略へ 奥出雲町・バイウィル・プロテリアルが森林J-クレジットに関する連携協定

島根県奥出雲町、バイウィル、プロテリアルは、森林由来J-クレジットの販売に関する連携協定を締結した。単年の排出相殺にとどまらず、森林が本来持つCO2吸収能力や生物多様性の長期保全を見据え、複数年にわたる長期購入契約を結んだ点が大きな特徴だ。売却益は同町における間伐や計画的な森林経営の財源としてそのまま活用される。奥出雲町は日本古来の「たたら製鉄」が今なお継承される地域であり、その技術を源流とするプロテリアル安来工場にとっても、大量の木炭を供給してきた地域の森林は歴史的な共生関係にある。今後は社員が参加する保全活動なども含めた包括連携協定の締結も予定されているという。山陰合同銀行とも協働したこのプロジェクトは、単なるCO2の相殺を超え、地域の伝統と環境価値を掛け合わせた森林クレジットの先進モデルとして、地方への資金還流と森林再生を力強く後押ししそうだ。

出典:株式会社バイウィル

※参考リンク
【プレスリリース】バイウィル、島根県奥出雲町の森林J-クレジットを 株式会社プロテリアルへ販売、連携協定式を開催 | 株式会社バイウィル

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