"AUSTROFOMA 2027": Where Forestry Machinery Is Put to Work in the Forest — What Japan Should Learn About Mastering Steep-Slope Terrain
Updated by 小林靖尚 on August 04, 2026, 9:16 PM JST
Yasuhisa KOBAYASHI
株式会社アルファフォーラム
株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 1988年早稲田大学理工学部応用化学科卒、三菱総合研究所主任研究員(住環境担当)を経て、同社のベンチャー支援制度を活用し2001年に株式会社アルファフォーラムを設立。以降、木材利用システム研究会(常任理事)、 もりもりバイオマス株式会社(顧問)、富山県西部森林活用事業検討協議会(事務局)等を歴任。2023年9月には木材利用システム研究会賞を受賞。
AustroFomaはAustria(オーストリア)で4年に一度、ほぼ全ての展示品や機械に触れられ、そして実演をする、世界最大規模の林業機械展だ。2027年9月21日~23日の3日間、AustriaのOberösterreich(オーバーエスターライヒ)州のシュレーグル修道院(Stift Schlägl)所有林(ホッホフィヒト〈Hochficht〉)で開催される予定だ。
最大の特徴は、森林内での稼働実演である。機械や機器を実際の森林環境で稼働させて見せる実演展示会で、通常の展示会のように「静置展示のみ」ではない点が魅力だ。チェーンソー、トラクター、ハーベスタ、集材用ウインチ、オートチョーカーなど、伐出から搬出までの機械・機器が一通りそろい、オーストリア国内でサービス提供しているメーカーや販売会社が中心になって出展する。
ズラリと並ぶ13社のタワーヤーダ。全てが伐倒~集材の実演をしている。この規模での機械展を見たことがなく、2011年にそのスケールと意気込みの違いを見せつけられた。


私は2011年、2015年、2019年、2023年の連続4回参加している。もちろん来年(2027年9月)も行く予定だ。


2011年、いまから15年前にAustriaで目にした資料を紹介する。
林業は2~4名程度でチームを組んだ作業班が対応していくことが多い。その素材生産量が高性能林業機械の進展とともに上昇しているグラフである。一般的に3名/班で、20立方メートル/日=60立方メートル/日・班となり、年間200日の素材生産ができれば1万2000立方メートル/年・班となる。Austriaではこのレベルが2000年に達成済みであり、その後も林業機械の進展や施業の工夫によって上昇し続けるであろう…という数値情報だ。

2025年12月、プラチナ構想ネットワークとの共同企画・共催でAustria視察時に、コンラッド社のタワーヤーダ施業現場で間伐を見学した。説明の中で「間伐で12,000立方メートル/年・班の生産実績となっている…」と聞き、「主伐(皆伐)ではなくて間伐ですよね?」と聞き直した。先方からは「主伐ならば2~3人/作業班で2万~2.5万立方メートル/年が目標であり、実現している…」との回答だった。
上記のグラフ図は素材生産効率の良い主伐前提の数字と見て良いが、40立方メートル超/人・日の生産量まで伸びているということになる。我が国でのそれは半分以下だ。
個人的な興味で、毎回注意してみていることがある。一つはTether System(テザー、ウインチサポート)だ。
下の写真は2011年のAustroFomaに撮影したものだ。写真ではワイヤーが見えにくいかもしれないが、上下にワイヤーを張り、そのワイヤーのサポートを受けてフォワーダが往復する。作業道はつけていない。上部ではハーベスタが作業をしている。

日本では斜面にコブがある場合が多いので、単純に当てはめることはできないだろうが、「新しい!これは工夫次第で我が国の林業でも使える!!」と思った。
日本の林業現場は「泥質」の地盤が多く水分も多く含んでいる。キャタピラでも泥濘にもぐってしまう場合が見受けられる。Austriaは「岩質」の地盤が多く、ホイール式でも走行が容易とされている。Austriaではハーベスタヘッドをつけている重機でも6~8輪のホイール式が普及しているのは、地盤の「質」によるものであると言われている。林道~林業専用道は10トン車超のトラックやトレーラが入れ、恒常的に使える道路が多いが、日本では雨が降ると林道や林専道に水が流れた跡がついて、修復しないと大型トラックの走行が困難になってしまう場合も少なくない。フォワーダを中心とする重機が通る「作業道」も同様のこととなる。
そこで、できるだけ道路開設をしなくて良い方式が試されている。このTether System(ウインチサポート)の活用は、この課題に対する一つの解決策になり得ると考えられる。
4年に一度のAustroFoma、毎回Tether Systemは展示機種が増え、また大型の高性能林業機械をサポートできるようになっている。下の2枚の写真は2023年に開催されたAustroFomaでのものだ。12年前の2011年AustroFomaと較べると、明らかに大きな重機がサポートされている。


左の写真、少々わかりにくいが全輪とハーベスタアームの間にワイヤーが映っている。大型重機をサポートするために、ワイヤーの吊るし元の工夫がある。複数の立木にワイヤーを括りつける場合もあるが、上部の林道から施業地に入ったところにスキッダ―をもっていき、そのブレードを地盤に食い込ませるように置く。スキッダ―ブレードの中央から出るワイヤーウインチからワイヤーを伸ばし、その先に重機がある。写真を見ておわかりのとおり、斜度は30度を超えているところでも、Tetherと車輪への専用チェーン装着により、作業道ナシでも作業が進められる。大幅なコストダウンを実現している。この技術はさらに進展する方向であり、わが国でも応用が期待されるところだ。
2019年、2023年のAustroFomaで、ハーベスタヘッドやグラップルのメーカーブースで新しい製品の特長を説明してもらった。「〇〇%、または〇kgの軽量化を達成しています」と誇らしげに言っているのが印象に残っている。
重たいものを動かす、ハーベスタヘッドの「掴む~切る~離す」の繰り返しは軽いほうが良い。たとえば単純計算として、1kgの質量の物体を上向きに1m動かすには約9.8J(ジュール)のエネルギーが必要である。
E = m g h = 1 × 9.8 × 1 ≒ 9.8 J (重力加速度は9.8 m/s2乗とする)
さて、軽油(ディーゼル油)1リットルを単純に燃焼させると約 38.5 MJ(メガジュール)/リットル=38,500,000J(ジュール)/リットルのエネルギーが発生するが、ディーゼルエンジン単体での燃焼効率(動力に使えるエネルギー効率)が35~40%とされている。さらに油圧効率や摩擦を考えると、トータルでは20%程度のエネルギーが作業のために使っているのではないか?
1年間の伐倒~搬出作業において、重機そのものや、ハーベスタヘッドが1kg軽量化されるだけで、どれだけエネルギー消費が少なくなるか? ランニングコストの低下に加え、軽くすることは地球環境にも大きな貢献をしている。これを誇らしげに説明してくれることに納得する。
余談であるが、電気自動車の開発と普及が期待されているが、車両重量が重たくなっては本末転倒なのだ。全ての動くものは「軽量化」を徹底する方が良策と考える。
2027年9月21日~23日のAustroFoma、プラチナ構想ネットワークの革新林業部会と共同でツアー企画を立てる予定である。百聞は一見に如かず…今から予定を空けておこう!!(株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 小林靖尚)
※参考サイト
Austrofoma 2027