How to increase the utilization rate of high-performance forestry machinery: The key to forest management is securing and maintaining continuity of forestry land.
Updated by 小林靖尚 on March 18, 2026, 2:44 PM JST
Yasuhisa KOBAYASHI
株式会社アルファフォーラム
株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 1988年早稲田大学理工学部応用化学科卒、三菱総合研究所主任研究員(住環境担当)を経て、同社のベンチャー支援制度を活用し2001年に株式会社アルファフォーラムを設立。以降、木材利用システム研究会(常任理事)、 もりもりバイオマス株式会社(顧問)、富山県西部森林活用事業検討協議会(事務局)等を歴任。2023年9月には木材利用システム研究会賞を受賞。
儲かる、稼げる林業は高品位林業すなわちプラチナ森林業の一つの要件となる。現在日本では儲かる林業を実現しているグループも出てきた。国際競争の中で、素材(丸太)の販売価格は安定していると見て良いが、儲からないのは販売価格に対してコストが高いからだ。補助金がないと林業が成立しない…から脱出することを考えてみる。
条件によってはチェーンソー伐倒が有利な現場もあるが、伐倒~枝払い~玉切り~集材~搬出を作業班は日本にどのくらい存在するのか? 伐倒~枝払い~玉切りはハーベスタ、プロセッサ(伐倒はチェーンソーなどと組み合わせ)、フェラーバンチャが担う。作業道は一般のトラックやトレーラが通れないのでフォワーダが担う。林野庁の高性能林業機械統計(令和5年度)をみると、ハーベスタ、プロセッサ、フェラーバンチャの合計は5,012台、フォワーダは4,781台だ。おおむね我が国には5,000作業班と見て良いだろう。


一つの作業班で高性能林業機械の初期投資はどのくらいか? 中古機械も流通しているが、ハーベスタ、フォワーダ、グラップルのセットの新車だと1億円はすると考えて良い。ここ数年で重機の価格が上昇しているので、初期投資の負担は大きくなる方向だ。
林業機械は5~6年を過ぎると不具合が発生する頻度が上昇する。10年以上使用されている林業機械もあるが、年間の保守メンテナンス費用は数百万円かかることも少なくない。1億円の高性能林業機械を5年間使い、5年間での保守メンテナンス費用合計を1,000万円とする。定額償却を想定すると、2,200万円/年=183万円/月のコストがかかっている。
年間素材生産量は2,147万立方メートル/年(2017年、林野庁統計より)だから、1作業班の平均は4,294立方メートル/年だ。ということは、2,200万円/年を4,294立方メートル/年で除すと5,123円/立方メートルだ。
作業班は3名1組、600万円/人の人件費(会社負担社会保険料込み)とすると、1作業班で1,800万円。1,800万円を4,294立方メートル/年で除すと4,192円/立方メートルだ。ここでは間接費用を除いて考えると、機械と人工の合計が9,315円/立方メートルとなる。
製材用丸太がA材、合板用丸太がB材、バイオマス材をC~D材と言うが、この比率を2:3:5とする。樹種で価格は変わるが、Aが13,000円/立方メートル、Bが11,000円、C(~D)を7,000円、これを加重平均すると9,400円/立方メートルだ。高性能林業機械を動かすための軽油代、その他もろもろ管理コストを載せると赤字は必至だ。林業は補助金がないとやっていけない。
一般的な業務日数(営業日数)のうち、高性能林業機械はどの程度の稼働率なのだろうか? フォワーダの稼働率に注目いただきたい。私の経験からも素材生産作業の律速(ボトルネック)はフォワーダである。ハーベスタの稼働率を上げてもフォワーダでの移動が間に合わず、結局フォワーダの作業量が伐倒搬出効率を決めている。素材を積載して、作業道を往復するフォワーダがなぜ稼働率50%を切っているのか? 稼働率が低いのは搬送速度の問題ではない。素材の荷積時の時間の問題でもない。そもそも稼働していないのだ。

理由はいくつか考えられる。
① 悪天候による作業休止
② 不具合等によるメンテナンス
③ 重機を移動する時間が多い(作業林地間を移動させている時間が多い)
④ 稼働できる場所がない(連続して稼働できない)
一次産業において悪天候による作業休止は仕方ない。律速となるフォワーダが特にメンテナンス時間を要するというわけではない。③と④に我が国の本質的な課題が見えてくる。連続して施業ができる場所がない、続いていないこと。小さい作業現場が点在しているので、作業林地と次の作業林地への移動が多いのではないか? 次の作業現場へは林専道でつながっていて、距離が1km程度以下であるならば自走する。数キロ以上離れている場合、重機はトラックやトレーラに積載して運ぶことになる。高性能林業機械(重機)の移動だけでも1~2日の作業だ。この間にメンテナンスを入れる場合もあるので、林業現場の移動はさらに数日プラスされる。トラックコストもかかれば、時間も費やすことになる。
同じ面積の森林を対象とした場合、点在する図のAが多くあると考えられる。素材生産計画地と、次の計画地の移動でロスをする時間が多い。森林の集約化は林野庁でも積極的に進めている施策であるが、集約することで高性能林業機械のトラック等積載移動の時間が大きく減らせる可能性が高いと思われる。林業専用道についても「循環」を前提にすれば、複数台のトレーラが素材(丸太)を運ぶために道に入ってきても大丈夫だ。10トン車以上のトラックやトレーラが無理なく通れる林業専用道の計画ができるかどうか? 合理的な林業専用道の計画ができる場所を集約対象地とすべきだろう。

高性能林業機械を使う林業作業班の年間素材生産目標平均を10,000立方メートル/年(現在の倍以上)とおくと、年間に必要な人工林(伐期を迎えた針葉樹林)で25haは必要だ。主伐で400立方メートル/haの素材は収穫できるとするとこのような計算になるが、実際は間伐も必要なので、一つの作業班で50~100ha/年の続き林地(林専道で数百メートル移動は続きとみなせる)を与えられるかどうかが森林経営計画となる。重機が5年間は移動しなくて済むには、250~500ha以上程度の続き森林をイメージしたい。目標稼働率はAustria林業並みの80%超を目指し、単位時間当たりの効率は20%アップ≒主伐(皆伐)比率アップで、10,000立方メートル/年・作業班は充分に可能だ。
林業専用道の線形を優先して対象地を絞り込む場合、天然林や旧薪炭林(広葉樹林)も含まれる可能性が高くなる。2026年2月16日、「林野庁は環境保全などに役立たせるために活用する森林の目標面積を設定する方針であり、天然林に対し、面積が広く傾斜も緩やかで林業に適した森林は『人工林』に分類。多くの人工林が木材として利用する時期に入っており、適切な伐採と植林を後押しする」といった内容のニュースを見た。現在の天然林がすぐに経済林化するというわけではないが、次の回転(20~50年度の収穫)に向けて人の手を入れていこうとする方針だ。単に現在の人工林の収穫を目指した「とりあえずの道づくり」ではなく、森林循環経済の基礎となる林型を計画し、その林型に向かって地方が、集落が活力を得る方向に進むことを願う。
林野庁の施策は充実している。Webサイトの情報も充実している。経済産業省、総務省、国土交通省、内閣府も、森林循環経済の後押しをしてくれる施策ばかりだ。民間が先に進み、自治体の協力を得られるモデル事業を実現したい。(株式会社アルファフォーラム・代表取締役社長、プラチナ森林産業イニシアティブ・ステアリングコミッティー 小林靖尚)