Updated by 『森林循環経済』編集部 on July 23, 2026, 8:40 PM JST
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プラチナ森林産業イニシアティブが推進する「ビジョン2050 日本が輝く、森林循環経済」の実現を目指します。森林資源のフル活用による脱炭素・経済安全保障強化・地方創生に向け、バイオマス化学の推進、まちの木造化・木質化の実現、林業の革新を後押しするアイデアや取り組みを発信します。
脱炭素社会の実現や中高層建築物における木材利用促進の動きを背景に、都市部における「木造耐火建築」への注目がかつてないほど高まっている。しかし、実際の建築にあたっては厳しい耐火基準や法規制、耐火部材の選択肢の少なさといった厚い壁が存在してきた。こうした課題を打破すべく、耐火構造の国土交通大臣認定の拡充に伴う意匠性に優れた最新耐火部材の開発をはじめ、木造マンションの普及、商業施設の大規模木造化や内装制限に対応する新しいサービスの登場まで、木造耐火建築の可能性を切り拓く動きが広がっている。
日本木造耐火建築協会は、正会員5社が新たに取得した耐火構造の国土交通大臣認定74件の運用を6月25日より開始した。すでに同協会が運用している153件と合わせ、使用可能な大臣認定は合計227件に拡大した。新たに追加された認定には、角形鋼管を強化せっこうボードと木材の表面材で被覆する「ハイブリッド木質耐火部材」や、薬剤を含浸させた「純木質耐火部材」などが含まれる。この拡充により、同協会は柱・はりにおいて、1時間から3時間までのすべての要求耐火時間に対応する耐火構造の網羅を達成した。これらの認定仕様は、防火規制の大幅な合理化が行われた2024年の建築基準法改正への準拠を主な目的として建築研究所の監修のもと発行された専門書『木質耐火部材を用いた木造耐火建築物設計マニュアル 2025』の追補版として公開され、所定の講習を修了した会員向けに提供される。耐火構造の選択肢が増えることで、木造耐火建築の意匠性や自由度も大幅に向上することが期待される。


【ニュースリリース】ハイブリッド木質耐火部材など新たに74件の耐火構造の大臣認定を運用 | 一般社団法人 日本木造耐火建築協会
先進的な木造技術で都市の木質化を牽引するシェルターは、ヒューリック、ヒューリックプロパティソリューション、ヤマトプロテックと共同開発した木質耐火部材「消火木(しょうかもく)(TM)」の柱・梁において、1時間耐火の国土交通大臣認定を取得した。せっこうボードなどを使用せず、すべての構成要素を木材のみで構築した純木質の耐火部材である点が特徴だ。肝となるのは、燃え止まり層および表面材のそれぞれに異なる2種類の消火薬剤を含浸させたスギ材の使用だ。火災時にエアロゾルを発生させて周辺の燃焼を抑える表面材と、発火を抑制して中心の荷重支持部材を保護する燃え止まり層を組み合わせることで、1時間の耐火性能を実現した。このスギ材は全国で調達可能なため輸送コストを抑えることができ、さらに、その他の木質耐火構造との接合が容易なため、設計や施工の省略化や自由度の高い計画にも大きく貢献する。木目をそのまま見せるデザインが可能なため、木の温もりを活かした木造耐火建築の創出を可能にする。


※参考リンク
【ニュースリリース】木質耐火部材『消火木™-しょうかもく-』 柱・梁の1時間耐火 国土交通大臣認定を取得 | 株式会社シェルター
大手ハウスメーカーの三井ホームは、木造マンションの累計受注棟数が100棟を達成したと発表した。同社は2021年から木造マンションブランド「MOCXION(モクシオン)」を展開し、中高層の共同住宅における木造化を牽引してきた。従来、アパートに分類されがちだった木造物件のイメージを覆し、「劣化対策等級3」を必須条件とし、さらに「耐震等級3」または「耐火等級4(60分間火熱を遮る性能)もしくは耐火構造」のいずれかを満たすという厳しい基準をクリアすることで、RC造と同等の性能が認められる新たな市場を切り拓いた形だ。耐火性、耐震性、遮音性といった課題に対しては、同社が培ってきたツーバイフォー(枠組壁工法)技術を応用し、高強度の耐力壁「MOCX WALL」などの独自技術を導入することで克服。1階RC・上階木造の「ハイブリッド構造」や「ALL木造」といった中高層での耐火設計モデルを実用化している。国のサステナブル建築物等先導事業に採択された5階建てハイブリッド構造「MOCXION INAGI」などの実例を通じ、その確かな耐火性能と実用性を証明している。建築時のCO2排出量をRC造より約40%以上削減できるといった環境優位性も、入居者からの評価につながっている。


※参考リンク
三井ホームが開拓した新たな選択肢「木造マンション」が、100 棟※1受注を達成 | 三井ホーム株式会社
「無印良品の家」を展開するMUJI HOUSEは、法人向けの大規模木造建築事業を加速させている。2024年に国内初となる大規模木造での「ZEB」認証取得を契機に本格化した同事業の一環として新たに開業したのが「無印良品 那珂川」と「無印良品 精華台」の2店舗だ。両店舗ともに、優れた耐震性と開放的な大空間を両立できる「SE構法」を採用している。「精華台」は、規制が厳しい「防火地域」への出店を果たした点が大きな成果といえる。90分準耐火構造の外壁の導入や500平方メートル以内ごとの防火区画、スプリンクラーの完備といった徹底した安全対策を講じることで延焼防止建築物として計画した。商業空間を木造で構築することは、利用者が木の心地よさや森林資源の循環を肌で感じる貴重な接点となり、社会全体の脱炭素への意識を高める契機としても期待される。



※参考リンク
MUJI HOUSE、大規模木造建築の実績を拡大「無印良品 那珂川」「無印良品 精華台」2店舗オープン | PR TIMES
木材流通事業を手がける森未来は、内装制限がかかる空間での木材利用をスムーズにするため、内装に特化した「不燃木横断サービス」を開始した。近年、オフィスや商業施設において、環境配慮や空間の価値向上を目的に木材の需要が高まっている。しかし、法的な制限が適用される場所では木材の「不燃対応」が必須となり、適切な樹種の選定や複雑な基準、白華現象をはじめとする品質リスク、窓口の煩雑さなどが導入を阻む高いハードルとなっていた。同サービスは、こうした実務上の負担を一手に引き受け、不燃木材の選定や見積もりから調達、加工、施工にいたるまで一貫してサポートする。無垢材や地域材の不燃化に対応するほか、突板や不燃化粧板といった代替案との比較検討まで柔軟にカバー。防火規制と意匠性を両立させる煩雑なプロセスを効率化する仕組みは、木造耐火建築のハードルを下げ、都市建築における内装の木質化を大きく前進させる契機となりうる。

※参考リンク
内装制限下でも、木材という選択肢を。「不燃木横断サービス」を開始 | 株式会社森未来

近年、脱炭素社会の実現やESG投資の拡大、ウェルビーイングへの関心の高まりを背景に、木造オフィスや木造商業施設への注目が急速に高まっています。一方で、非住宅の木造化が実際にどのように進んでいるのか、先進事例や技術、制度に関する情報はさまざまな媒体に分散しており、体系的に把握することは容易ではありません。本資料では、一般社団法人プラチナ構想ネットワーク「プラチナ森林産業イニシアティブ 木造都市分科会」が、木造オフィス・商業施設の先進事例4件に加え、木造都市の考え方や技術、制度動向を全23ページにまとめました。木造建築の企画・提案や情報収集、非住宅木造の最新動向を把握するための資料としてご活用ください。続きを読む